2008-04-01から1ヶ月間の記事一覧

震える粒子

光の中で声をあげる人を見ていた。 音が粒になって、体の表面を打つ。粒になって、体の中をかけめぐる。 酸を浴びているような、血がビールになったような、強い刺激で全身が痺れた。 その圧倒的な幸福感を他に知らない。 空など見えない閉塞された空間で、…

ともすれば

自分のことを4番手くらいの人間だと思っている。 点数で言ったら60点。天気でいったら曇り。 カビが生えるような湿度。 いてもいなくても同じ。積極的に求められることはない。 とかね。 それを思えば思うほど、周囲も本当に私をそう扱ってくる。 でもこ…

春深き午後

少し香ばしいような、日向のにおいがする春の日は、小学校を思い出す。 風邪を引いて、家で寝ながら小学校のチャイムを遠くに聞いて、 教室の喧騒を思い浮かべるのに似ている。 すすけたグラウンド、濁った青の空、桜の花びらが散る道、上着のなくなったから…

雪崩落ちる

ユキヤナギが満開になると、かくも迫力を伴うものか。 その咲き誇る様は、さながら滝が凍りついたようだった。 ひとつひとつの花を見れば実に可憐で、陽に透ければまるで花嫁のように朗らかであるのに、 集合して渾然となった姿は雄雄しさに満ちている。 カ…