そのピンク色は懐かしすぎて目に染みた。 薄淡く、赤みを帯びた透明のピンク。前に座った女の子の髪の毛で、キラキラと輝いていた。 安っぽい色。子供の頃に、夜店で買った指輪の石の色。 耳に貼るぷっくりとした、三日月型のシールの色。 拾った、花の形を…
肌のうえを、薄衣のような秋の空気がすべってゆく。 もわっとした熱気のなかに、淡雪のようにすずしい空気がまぎれこんでいるのがわかる。 長月に入った途端の、この小癪さ。 月が少しずつ透き通り、空の濁りが晴れ、紺の色味が増してゆけば、 トンネルをく…
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