雪崩落ちる

ユキヤナギが満開になると、かくも迫力を伴うものか。
その咲き誇る様は、さながら滝が凍りついたようだった。
ひとつひとつの花を見れば実に可憐で、陽に透ければまるで花嫁のように朗らかであるのに、
集合して渾然となった姿は雄雄しさに満ちている。
カメラ(と言う名の携帯電話)を構えながら、
どのアングルから撮れば、その実態を写し取ることができようかと、試行錯誤を重ねる。
しかし、ちっぽけな携帯のカメラごときには、その生生しさはとても受け止めれない。
せめて一風変わったアングルで、と、せり出す花々の背面に回りこみ、
小花の茂みを裏側から移すことを試みる。
その刹那、むわっとした粉っぽい匂いに包まれる。
小さな花ほど主張する、とは、沈丁花金木犀に習っていたものの、
よもやこの花までもが、と、感嘆にも似た気持ちで呼吸する。
ユキヤナギの陰に隠れて、新たな春の一面を知る。

 
同じ花。