青青い時間

あっという間に、夏の気配におそわれた。
ほんの少し前はまだ冷たい空気が混じっていたのに、
公園の大きなけやきの下すら、むっと蒸していた。
シロツメクサがところどころに群れて咲いている。
ほんの少し申し訳なく思いながらも、
芝生をふこふこと踏みしめながら歩いた。
サンダルからはみだした足の指先がむずがゆかった。
土と草のにおいが、肺まで染みこんでゆく気がする。
一分もかからず公園を通り抜けると、額に汗がにじんでいた。
背中にはりついたタンクトップがうっとうしかった。
蝉の声は、まだない。
サツキの花が落ちていた。
梅雨はもうすぐだろうか。