2007-08-01から1ヶ月間の記事一覧

刻みこむ死

猫が死んだ。 もうだめかもしれないから帰ってきて、という姉の声を受話器越しに聞いた。 どうしてもどうしても帰りたくない理由があったのだけれど、 秤にかけた時、共に過ごした14年間を捨てることはできなかった。 帰らなかった時の後悔も、笑えるくら…

過去と言語

久しぶりに聴いた音は、表皮からぐんぐん吸い込まれていくようだった。 演奏する彼らの姿を目で追いたい気持ちよりも、音に浸りたい気持ちの方が大きくて、 何度かゆれながら、目を閉じた。 細胞が打ち震えた。 一番好きな曲は、本番では聴くことができなか…

風邪を引く

夜明け頃、蒸し暑さに目を覚ますと、喉の奥が焼けるように痛い。 外側からは確認しようのない気管支の形を、思わず脳裏に浮かべるほどに、 あかあかと腫れあがっているのが感じられる。 冷房の空気が部屋にいきわたり、眠るのに最適な温度になったところで、…