2009-02-28 宇宙の中心 聴 視 ほの暗い地下に宇宙が出現した。 三種の楽器と声と無数の機械が、渾然一体となって空気を歪める。 芯から操られた人々の体が、熱に浮かされたように揺れていた。 まばゆい光が空気を貫く。 常ならば目を閉じて音に浸るところを、踊る光があまりにも美しくて、まばたきの回数を減らした。 目から耳から焼きついて、骨にまで届いて、痕を残す。 地下の宇宙から抜け出すと、地上はあまりにもあっけなく地球だった。 骨に残る宇宙の記憶をぽたぽたとたらしながら、駅へと歩き出す。