赤い水筒に

かじかむ指先をぎゅっとコップに押し付けながら、公園のベンチで紅茶を飲んだ。
家で飲む時は何も加えず、あっさりと飲む。
外にはミルクとお砂糖を入れたものを持っていく。
理由は単純で、その方が赤い水筒に似合っているから。
明るく浅はかな赤に、たっぷりの牛乳を加えた紅茶のとろりとした色がいかにもあたたかく映る。
曇天の下、まだ蕾んだままの桜の木を見上げ、首筋をひやりと撫でてゆく風に縮こまりながら、
両手に包んだ甘く熱いミルクティーを啜る。
このあたたかい吐息を吹きかけて、今すぐ淡紅色の花弁がほころびたらいいのに。