ピカピカの

雲のない夜に星がまばらに散っている。
小さなてんてんが一つずつ、きちんと光っている。
月は磨かれたような透明感で、冷たい夜をくまなく照らしている。
温度のない光を顔に受け止めながら、畏れ多い気がして目を閉じる。
胸をしめつけられるような、早朝のきりりとした青空も、
あるべき色をあるべきままに映す曇り空も、
ほどよい温度で歩く澄んだ藤色の黄昏時も、
嵐が過ぎて、雲が速い夏の夕方も、
そして枯れ木と星と月だけが存在を主張する冬の夜も、
どれも等しく好きなはずなのに、
現金なもので、「その時見ている空」が、何より好きだと思う。
風がなく、ただぴんとはりつめる冷気に頬を包まれて、
目を開いたその先に、皓々と輝く月を見つけると、
その瞬間は確かに、ほかの何もいらないと、思ってしまうのだ。