点滅する色

そのピンク色は懐かしすぎて目に染みた。
薄淡く、赤みを帯びた透明のピンク。前に座った女の子の髪の毛で、キラキラと輝いていた。
安っぽい色。子供の頃に、夜店で買った指輪の石の色。
耳に貼るぷっくりとした、三日月型のシールの色。
拾った、花の形をしたボタンの色。
私はいつも目の前のものに夢中だった。

意識したほんの一瞬で、私はびっくりするくらいその色に心をつかまれた。
女の子は前を向いていて、そんな私に気付かない。
髪の毛の隙間でちらつく甘い光を見つめ続けるうちに、目頭に涙がたまってきた。
もちろん、私はおとななので泣いたりしない。
照明がじょじょに暗くなる。

そっと目頭を押さえて、明るくなる舞台に視線を移した。