つめたさは

長く人の住んでいなかった家は、とても冷たくしんとしている。
化石のようにじっと沈黙している。
光を入れ、磨き、生活のにおいがする家具が運び込まれ、
寝起きし、食事し、生活がぐるぐる回り始め、
気が付くと、家は光と温度を具えるようになっている。
冬の日のふとんが、自分の体温でじんわりとぬくまってゆくように。