指で梳く髪

髪を切る。
整えてパーマをかけ直しただけなのに、どうしてこんなにも軽いのだろう。
ほんの数グラムの負荷が減っただけで、重力から少し、解放された気持ちになる。
いつもと違う香りのする髪は、まるでそこだけよそゆきになったようで。
自分のものなのに、半分「外のもの」。
するすると梳ける毛先に無意識に手を伸ばしていることに気付き、
「自意識過剰な女みたい」と思いながら、町を歩く。